新発見 東かがわ市・さぬき市の歴史15 ~令和3年に実施した白鳥廃寺の発掘調査成果について1~

白鳥廃寺は東かがわ市湊に所在する古代寺院の遺跡で、東に延びる2つの丘陵にはさまれた谷部の平地にあります。昭和43年に最初の発掘調査が実施され、東に塔跡、西に金堂跡(西方基壇)を配置した境内であったことが指摘されました。また、出土した多量の古瓦から飛鳥時代から平安時代にかけて寺院があったと考えられています。以来、今日まで複数回の発掘調査が実施されましたが、令和3年は塔跡、金堂跡から南の地点で発掘調査を実施しました。

この調査で判明した主な成果は2点あります。今回はその1点について紹介します。

塔跡から35m南に東西方向の横並びに3か所の調査区を設定しました。この辺りは白鳥廃寺の立地する谷部の南端付近でここから南は丘陵がせまっています。調査区2は境内の中軸と予測されるライン上に設定したため、南大門跡の発見される可能性がありました。結論として今回の調査では発見されませんでしたが、その西側の調査区である調査区3・4では溝跡を発見しました。この溝跡は塔跡、金堂跡の東西ラインに並行して東西にのびており、幅が約1.6m、深さが約0.5mありました。長さは部分的な発掘調査のため不明です。溝の中からは古瓦や須恵器の破片が発見され、飛鳥時代頃の溝跡であることが判明しました。ここは場所的に平地の南端辺りであることから、寺域の南を画する区画溝の可能性が考えられます。興味深いのはこの溝跡が南大門の予測された調査区2では発見されなかったことです。溝は東西に直線的にのびてはおらず、境内の中軸付近で屈曲するが止まっている可能性があります。溝跡の平面形は今後の課題となりましたが、今回の調査では白鳥廃寺の寺域の南限の可能性のある溝跡を発見したことが成果になりました。

調査区3の溝跡
調査区4の溝跡
白鳥廃寺の平面図
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