このページでは、応急手当の中で最も重要な「命」を助ける手当である「救命手当」を紹介します。
傷病者が8歳以上の場合
- ステップ① 反応の確認!
- 傷病者に近づき、耳元で「大丈夫ですか!」、「もしもし!」と呼びかけ、片方の手で傷病者の肩を軽くたたき反応を見ます。
- 何らかの反応(目を開ける・顔をしかめる・声を出す等)があれば訴えを聞き、それに対する手当てを行います。
- ある程度の意識はあるが、訴え等を言えないような場合は「回復体位」にします。
- 反応が悪く意識の障害があると判断すれば、迷わず119番通報し救急車を呼びましょう。
観察する場合の注意点!
- 傷病者に近づく前に、傷病者の周囲を観察し「自分」に危険が及ぶような状況であれば、まず応援を呼ぶことを優先させましょう。
「回復体位」とは…
- 傷病者を横向きに寝かせ、下あごを前に出して気道を確保し、上側の手の甲に傷病者の顔を乗せます。さらに上側の膝を約90度曲げ、仰向けにならないようにします。
- ステップ② 助けを呼ぶ!
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- 意識がなければ大きな声で、「だれか来て!」と叫び助けを呼びます。
- 次に、協力者が来たら、特定の人に「あなた救急車を呼んで」と119番通報を依頼します。
- また、近くにAED(自動体外式除細動器)があれば取って来てもらいます。
- ステップ③ 呼吸の確認!
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- 傷病者の胸とお腹の動きを見る。
10秒以内で!
- 呼吸を見ても普段どおりの呼吸をしていなければ、胸骨圧迫を行いましょう。
- 呼吸を確認したが、呼吸をしているかどうか分からないときは、呼吸なしと判断して直ちに胸骨圧迫を行いましょう。
- 傷病者の胸とお腹の動きを見る。
- ステップ④ 胸骨圧迫(心臓マッサージ)の開始!
- ステップ③で普段どおりの呼吸をしていない場合は心臓の拍動も停止していると判断し、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。
- まず圧迫部位を探します。(図参照)
- 胸のほぼ中央で、左右の乳頭を結んだ線の中間(胸骨の下半分)が圧迫部位になります。
胸骨圧迫の手法について
- 胸のほぼ中央に片方の手の付け根を置きます。 その手の上にもう一方の手を重ねます。 肘を伸ばし、垂直に体重をかけ胸を圧迫します。
- 傷病者の胸が少なくとも5cm沈み込む程強くリズム良く(圧迫と圧迫解除は同じリズムで)1分間に少なくとも100回のリズムで圧迫を行います。
胸骨圧迫の注意点!
- 胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う場合は、平らな固い床の上で行います。(ベッド・布団の上などは効果が半減します。)肘を伸ばし、垂直に体重をかけ胸を圧迫します。
- 背筋を伸ばし、傷病者に対して垂直に圧迫します。 肘を曲げないようにします。
- ステップ⑤ 人工呼吸の開始!(口対口の人工呼吸により、肺に空気を送り込む)
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気道の確保(頭部後屈あご先挙上法)
- 片手を額に当てもう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(おとがい部)にあて、これを持ち上げる。
- 気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまむ。
- 口を大きく開け傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして息を(1回に約1秒かけて)2回吹き込む。この場合、傷病者の胸が軽く膨れる程度に。
- 息を吹き込んだら、口を離して傷病者の吐く息を観察します。
- ステップ⑥心肺蘇生法の実施!
- 30回の胸骨圧迫(心臓マッサージ)と2回の人工呼吸のサイクル(30:2)を繰り返します。
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心肺蘇生法を行うにあたって
- 心肺蘇生法は、救急隊や医師等の医療従事者に引き継ぐまで継続して行ってください。
- 心肺蘇生法を約2分間行い、普段の呼吸に戻る・体を動かす等がなければ心肺蘇生法を継続してください。
- 普段の呼吸に戻ったが意識がない場合は、気道確保を実施して、応援、救急隊の到着を待ちますが、その間は呼吸の観察を断続的に行い、呼吸が認められなければ再度、心肺蘇生を開始します。
傷病者が小児(1歳以上8歳未満)の場合
基本的な手法は8歳以上を対象にした場合と同じとお考えください。
- ステップ① 反応の確認!
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- 119番通報を含め乳児と同じ要領で確認してください。
- ステップ② 助けを呼ぶ!
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- 意識がなければ大きな声で、「だれか来て!」と叫び助けを呼びます。
- 次に、協力者が来たら、特定の人に「あなた救急車を呼んで」と119番通報を依頼します。
- また、近くにAED(自動体外式除細動器)があれば取って来てもらいます。
- ステップ③ 呼吸の確認!
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- 目で胸・おなかの動きを見て10秒以内で調べます。
- ステップ④ 胸骨圧迫の開始!
- ステップ③で普段どおりの呼吸をしていない場合は心臓の拍動も停止していると判断し、胸骨圧迫を開始します。
- 胸骨圧迫は、胸骨の下半分を片手もしくは両手の手の付け根で行い、胸の厚みの1/3程度の深さまで胸部を圧迫してください。
- 圧迫の速さは少なくとも100回/分です。
- ステップ⑤ 人工呼吸を行う!
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- 普段どおりの呼吸をしていなければ人工呼吸を行います。
- 小児の口を自分の口で覆います。
- 吹き込みは(軽く胸が膨らむ程度に)1回1秒かけて2回行ってください。
- ステップ⑥ 心肺蘇生法の実施!
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- 30回の胸部圧迫(心臓マッサージ)と2回の人工呼吸を繰り返してください。
8歳以上に行う心肺蘇生法との違いについて
- 人工呼吸実施時の注意点は、新生児・乳児・小児とも8歳以上の人より肺の容量が少ないことを念頭に、やさしく行いましょう。
傷病者が乳児の場合
基本的な手技は8歳以上を対象にした場合と同じとお考えください。
- ステップ① 反応の確認!
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- 呼びかける、肩を叩く、足の裏を刺激するなど。
- ステップ②助けを呼ぶ!
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- 意識がなければ大きな声で、「だれか来て!」と叫び助けを呼びます。
- 次に、協力者が来たら、特定の人に「あなた救急車を呼んで」と119番通報を依頼します。
- また、近くにAED(自動体外式除細動器)があれば取って来てもらいます。
- ステップ③呼吸の状態を調べます
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- 目で胸・おなかの動きを見て10秒以内で調べます。
- ステップ④胸骨圧迫の開始!
- ステップ③で普段どおりの呼吸をしていない場合は心臓の拍動も停止していると判断し、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。
- 胸骨圧迫は、胸骨の下半分を中指と薬指の2本で行い、胸の厚みの1/3程度の深さまで胸部を圧迫してください。
- 圧迫の速さは少なくとも100回/分です。
- ステップ⑤人工呼吸を行う!
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- 乳児の口と鼻を同時に自分の口で覆います。
- 吹き込みは(軽く胸が膨らむ程度に)1回1秒かけて2回行ってください。
- ステップ⑥心肺蘇生法の実施!
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- 30回の胸部圧迫と2回の人工呼吸を繰り返してください。
8歳以上に行う心肺蘇生法との違いについて
- 人工呼吸実施時の注意点は、新生児・乳児・小児とも8歳以上の人より肺の容量が少ないことを念頭に、やさしく行いましょう。
すべての手当てに共通する心がけは「まず落ち着いて」、「あせらず」、「正確に」!